食べログ★3.5以上の店って4万店あるらしい by キラキラ地獄エリート

いい男の店選びって

ワイングラスを傾けると液体が流れてくる。飲み干した男の顔は恍惚たる表情を浮かべている。雰囲気のいい店内、それなりに値段のする食事、隣には美人。いい男の食事なんてそんなものかと思っていた時代が僕にもありました。

だけども聞いて欲しい。今の時代金さえ持っていれば、いい店は食べログでいつでも探し放題だし、東京には★3.5以上のそれなりの雰囲気をかもし出している店なんて六本木だけで500件近くある。雰囲気のいいお店で飲み食いする、はネットさえ使えれば誰でもできる行為なので、たいしたことでもなんでもない。

じゃあいい男の店選びっていったいどんなのだろう。この問いに対しての答えに近いものを教えてくれる人達が僕の周りにはいる。

■Kさんのケース

Kさんは僕の会社の先輩だ。初期配属の時の上司で、いいお店をたくさん知っていた。Kさんがすごいのは、店を選ぶ際に必ずその店と自分のストーリーを持っていたことだ。酔っ払って店のジョッキで怪我をしたときに、中国人の店のおばさんに針と糸で緊急処置をしてもらったという店だったり、日本一おいしくて強いレモンサワーの店では店長と喧嘩をしたことがあるにもかかわらず今はその店の常連だったりする。店の味はさることながら、Kさんと行くお店はとにかく楽しいのだ。

この楽しさの理由は明確で、Kさん自身が肩肘張らなくても楽しめるよう、自分のなじみのお店につれてってくれているからだ。

いい店にはルールとか暗黙の了解があることが多く、そういった店に全く初めての状態で入ると少しぎこちない思いをすることがある。それは勝手の分からなさだったり、店主との間が読めなかったりすることから生じる些細なぎこちなさなのだけど、常連の人と行くとそういったぎこちなさを一切感じる必要がなくなる。

僕の好きな「剣山閣」という小石川にある焼肉屋も網を変えるタイミングを間違えるとおばちゃんから渇を食らう。めちゃくちゃおいしいお店なのだけど、常連じゃないとデートには向かない。楽しくないデートなんて犬も食わない。

行き着けの店がたくさんある人は、男の僕からみてもいい男だなと思う。

■I君のケース

I君は社会人になってからの僕の友達だ。食べるのがめっぽう好きで、常連の店も多ければその引き出しの広さは恐ろしいものがある。I君はご飯に誘ってくれるとき必ずこういう。「日本一おいしい○○があるんやけどいかへん?」

食の世界で日本一なんてものは実際のところ存在しない。量の話なら分かる。けれどおいしさなんて定性的なもので日本一なんて本来存在しないはずなのである。

もちろんここでいう日本一はI君にとってなのだけど、毎回その誘い文句に誘われて御腹がすいていなくてもついていってしまう。そして、間違いなく彼のつれてってくれる店はうまいのである。うまそうに食べる彼の姿が間違いなく調味料になっているのだ。

彼の場合、自分のお店の選択に一種の矜持を持っている。もしかしたら料理人よりも強いかもしれないその矜持は、店に風格すらもたらす。いい店に行くのではなく、彼が最高にいい店だと思うだけで、行きたいなと思わせる彼の矜持は、いい男の店選びを通りこしているかもしれない。

二人の店選びに共通するのは、相対的な評価ではなく、絶対的な自分の評価で店を選んでいるというところだ。連れて行く本人がうまいし楽しいと確信しているのだから、間違えるわけがない。

女性とのデートでも食べログの★や、東京カレンダーに取り上げられたかどうかしか気にしていない人がたまにいるらしい。そんな愚痴を友人の商社女子から聞きました。

女性陣皆飽き飽きしているらしいから、特に初めてのデートとかは食べログで無難に見つけた初見のお店に行くのではなく、行きつけの渋い店を開拓して、そこに一緒に行くのがいいんじゃないですかね。いい店あったら僕にも教えてください。